やはり私は逃れられない
無能である。私はこれまで一度も仕事をしてこなかった。
定義:計画の無い業務は仕事に非ず。
だから私は無能である。この社会で適応できずに淘汰されるべき人間だ。どうして生かされているのか、どうして生かしてくださるのですか、明日には消えてしまいたいと願い、この世界から人類が消えてなくなって欲しいと毎夜お願いしているというのに。
こんな人非人をここに置いておかないでください。
どうして太陽は私を焼かないのですか。
私にこんな人生はあまりにも重荷。辛いから、苦しいから生きなければならぬ。私にはそれが出来ない。ここから堕落を始める。日雇いの浮浪者にまで落ちるか、精神病で障碍者に成り果てるか、私は狂っていない。この社会が狂っているのだから、それら全ては適応して狂えない私の責任である。誰かに生かされたくないのだから、死ななければならない。
しかし、その勇気をくれる人間はいない。
疲れたら帰って、それでどうするというのか。
私が誰かと繋がれるのは、ささやかな自身の作品以外にはない。計画もなく、ずさんな人間だから、この糞みたいな脳とただただ悲嘆にくれるだけの阿呆でありたい。私は亡霊である。この社会には存在していない。誰からも何も期待されてはいないのだから、殺してくれはしないだろうか。
この社会での救いは死ぬこと以外にない。
信仰が死によって成就されるように、私も太陽に乞うた救いもやはり死ななければ得られることはない。こんな霊長類であることが我慢ならないのだ。
短絡的なソシオパスか精神異常者となる前に私は私を殺し切らなければならない。これは社会の生などでは決してない。この生が適応できなかった、この個体は必要なかった。私が死のうとも、無数に人間どもは存在する。
消えろと絶滅を願った所で、それを実現する具体案:自死、意外に在り得ぬ。
私は一介の人間、七十億分の一の塵芥に過ぎない。だから消えた所で人類は絶滅はしないし、自己主張の世界だけが広がる。
そうして自己の世界に入り込み、ずっとそこから出て来なくなった。
どうかここから出さないでください。人間をやるには私は弱すぎるのです。人間として狂うには覚悟がないのです。
蛆として踏み潰される。
なんら具体的な物事は私の中にはなく、ただ通り過ぎるだけでぼやけている。
私はこの世界でぼやけて存在している。何も考えをまとめることが出来ない。論理的に物事を進めることが出来ない。何が必要か説明することも出来ない。
感情は抑えなければ。短絡的な行動は私の死を遠くにやってしまう。
どこへも行けず。
誰とも関わらず。
自身の価値を見失う。
お願いですから、早く殺してください。
もう何をしてもこの先は敗戦処理なのだから、薬漬けでもなんでもいいから、この自我を消してください。
これは自殺願望だろう。
病んだ社会のこの人間という猿どもと、その一部であることが我慢ならないのだ。