Katsute_no_kigouのブログ

弱さの発露として世界を語ろう。それが遺書である。

人間の世界と私の構造は常に重ね合わされる。

老人は全てを持ち、私達は全てを持たない

消え去る前の小話

 そんなような声が聞こえて来る気がした。

 昭和、平成、高度経済成長を経て豊かな時代を流れてきた者たちのことを羨む。それは背景を大雑把すぎる切り取り方をして、この貧しくなりつつあるイマからの反撃として、反抗として、暴力を振るう。

 この社会になにか簡単な「裏技」が有って、「楽に」稼げて、豊かに暮らせるものがあると。youtuberか、インフルエンサーか、沢山の承認欲求が他人の人生を煌びやかなものに見せかけて羨む。沢山の金と、小奇麗な生活。

 日当百万、十万、一万五千円。
 特殊詐欺や強盗がコストパフォーマンスの良いものと思ってしまうくらいの弱者。その場しのぎの金がなければ、それこそ人生の終わりかのように、短絡的な選択をしようとしてしまう人たち。彼らが道を踏み外さないようにするには、罪の大きさを沢山報道し、逮捕し、辛い生活が待っていることを喧伝しなければならないのだろうか。
 優しくする。というのはここでは適当なふるまいでないように考える。非凡の道は平凡によって達せられる。当たり前の行動を的確に行うだけ。そのシンプルでつまらないように思えることが私達の評価に繋がっていく。対価に繋がっていく。
 残念ながら、私はそれを成せるほどの愚直さをそそっかしさでぶち壊していくので、苦労している。人から信用されなくなるのはしょっちゅうで、組織の中で生きるには問題が多い。何年も社会人というやつをやっているが、この問題は解消されることはない。真面目に一つ一つやっているつもりで、結局出来ていない所に悩まされる。

 このように、クソ真面目な精神をもつ人間が十年以上も失敗続きで、ただ「正社員」になれただけでそれなりに生きられている。
 確かに、平凡な道を確実に歩める人間であれば、もっと違っていただろう。
 沢山の知識を活かして考えられる頭がある人間であれば、もっと違っていただろう。

 しかし、私はこの生き辛さを抱えるちょっとした特性を持つ人間なのだから、何があろうと歩き続けるしかないことを知っている。
 他人から軽蔑される人間で結構、馬鹿にされていても結構。素直すぎる故にイライラはするが、日々やれることを続けるしかない。一切皆苦、死ぬまでただ流れるだけの命なのだから。

 それでも、この国を少しでも良く出来るように、何か行動できたらと悩む。
 現在ホットな話題だが、NPO団体や政府とのいい加減な関係性が明らかになりつつある。利食いで沢山の無駄が生じている実態が現れてきている今、こうした透明性を保つための活動は今後も続けて行けるよう、一般人の私達全員が考えていく良い機会だ。
 そうした時間がないから、調べることも出来ないから、私達は政治を好き勝手にさせる。投票しても変わらないから、行政に働きかける方法が分からないから、今のような無関心の現状が広がっているように思う。
 ともすればメディアの報道に任せて批判をして、それ以外は見ずに「誰か」にとって都合の良い情報だけで生きていた。これは「考えていない」眠らされた私達を誰が救ってくれるというのだろう。

 ハンナ・アーレントも書いていたが、人間の条件の中にある「活動」とは、正にこうした民衆の目による政治や行政の監視と改善活動にあると思われるし、政治の話がしにくい状態にある世間の空気感も一周していくべきだ。まともな野党がいない、まともに政治をしてくれる与党ではない、だから色物や無投票が増えて、この国の民主主義が形骸化して無意味なものへ変わってしまう。
 そうではなく、個人個人がまともに政治家を観察し、しっかりと国を動かしていけるように方向修正をさせる。このWeb時代に、間接民主主義はもう流行らない。比例区で何とはなしに通っている議員たち、それも変わっていく時期になっている。
 沢山あったこれまでの慣習やなあなあになっているもの。「●●さんが」「これまでもこれでやって来れたから」

 この政府、行政も隠したくなるものが増えた。
 腐敗は慣習と既得権益、自浄作用もなくどんな市民も意識を向けることが無い全て。

 ただ、SNSでアルファに付き従うだけではこれまでと変わらない。一人一人が何を出来るかを考え、よりよい方向に目指す活動が出来るようになる必要がある。

 しかしながら、そんな余裕があるだろうか。
 余裕がないからこそ、この針の穴を通すような道のりの長い選択を続けないといけない。そういった厳しさを仕事の外側にも持つ。ともすれば活動家など様々な人間が個を責め立てるのであれば、対応が出来ないほどに人が増える必要がある。

 この難しさ、分かりにくく明確な答えが出ない事柄、果たして私達の選ぶ先はあるか。利権が蔓延れば必ず駄目になる。暴力的な手段しかないと、そんな末期の思考に到る前に、個人個人でやれることを進めて行かないといけない。

 老人が全てを持っているわけでもない。
 その先に幾つも隠されている。

 これは良い機会だろう。
 全てを台無しにしてしまう前に、この国に向き合わなければならない。

世界観と構造代謝の最中に消えゆく灯火