過去の偏在
僕は何者でもないものになりたかった。高校生の頃、僕はシステムエンジニアというものになりたかったと嘘を吐いた。そうして情報系の学習を大学で始めた。数学はあまり出来ず、物理はそれなりに出来た。常に現実に把持され続ける僕は純粋な理論である数学と…
暑い。熱のうだる中を暑さに順応できず空調の部屋から僕は太陽を見ていた。こんな快晴なら殺人が起きてもいい。頭の中にいるアラブ人を撃ち殺すムルソーと畳の上で寝転がりああ次の瞬間にはこんな逃避もモラトリアムもないのだ。強制されていた様に見えたも…
雨の降る道を見た。そこから這い出る意識は私の一部:知らないぞ笑え。余計にはぐくんだ一年を私は何もせずに眺めている。あの時私は私の体を破壊しつくす勇気もなくただただ大学も投げ出して浮浪者になろうと試みてそうならなかった。親によって支払われた…