Katsute_no_kigouのブログ

弱さの発露として世界を語ろう。それが遺書である。

人間の世界と私の構造は常に重ね合わされる。

200001

消え去る前の小話

 世界と構造から生まれた。確率論は全て数学だった。確率とはこの現実世界に正確には存在しない。全て物理現象である。コインが回って落ちるのもトランプの1/53を選ぶのもサイコロを振るのも全てその力放出されるエネルギー磁場変動風カオスそれ即ち確率とは予測可能な全ての未来予知と何ら変わりがない。量子的な状態で考えれば重ね合わせが生じるがそれは巨視的な僕らとはそれほど関りが深くはない。

 赤信号で目をつぶって三車線の道路を歩く。そこで轢かれない確率を考えよう。日付と時間帯と交通量と歩く速度と運転手の考え即ち磁場変動と気温と大気の変化、それら全てはニュートン力学により全てが力を発した瞬間に理解される。確率ではなく決まっている。人間が歩く際にわずかに補正する体の傾き意識の流れ目線思考で体をふらつかせてみる怖がる強張る足元それらの反応を返す機構から生み出された逐次変化、それらを僕らは確率と呼ぶ。宝くじに当たる確率、雷に当たる確率、自分の手に余る現象の全てが確率論で話され、数学的な変わらないものとして理解される。一般的なもの。

 まず世界があり、そこから人間達の構造が生じる。パートナー、バンド、チーム、グループ、コミュニティ、そして国家に至るまでその全ては構造である。社会とは人間達の構造でありその構造そのものが世界と構造から生まれる僕らを作り出していく。しかしその世界は誰もがその姿を理解することはあり得ない。僕らが世界を理解する時、それは「世界観」であり「世界」そのものではなく、構造はその隙間で浮いている。これが「無」であるのは全ての人間が承知し承諾している認知の基礎である。この世界を理解する手がかりは幾つかのインターフェースによって、そこで重ね合わされた景色が僕らの≪世界≫として構築される。これは加速度的で変幻自在だが「世界」はそこにあるままだ。何があっても、何があろうと。だから僕らは世界と構造から生まれた。間違えないよう言葉を選べば「世界」より分化した各々の「構造」が「世界観」でありそれらの重ね合わさった部分を僕らの≪世界≫と呼ぶ。

 だから、世界と構造から生まれた。世界観とは構造的綜合である。世界観は物理の世界で、数学の世界ではない。だから確率論は世界観と領域が異なる。理論は≪世界≫の道しるべであり、人間はそれを使って理性を組み立てた。だから理性は非人間的である。それらは構造でもない。マヌーバに近しいものだ。構造を動かす為に使われるが、それらは≪世界≫や世界観を強化する為に現れる。変化なき道標として。

 そうして歩く。目をつぶりそれらの標をアンカーとして構造から離れる。深海で一人きりだここではわずかな光る生物とゆったりと動く生き物と押しつぶされた僕らが潜水服の中で死を覚悟する。生まれた所からその何もない所へ飛翔するその行為は踏みにじられるようでやはり人間だったと、構造を愛するべきだったのだ。重ね合わせの構造がなければ人として生きられない。生きようとすればそれはアンカーではなく移動体の方向を定義付けるものだったからそこから伝っていけばそれらは人間の世界ではなかった。しかし人間は人間の世界でない所へ伝っていける。それが示されているのだ。決してそれは自信をつけるための物でもなく、妥当性を担保するものでもなく、またこの世界を唯一把持できるものでもない。それらが未来を予測するのではなく、それらを用いたから未来が結果的に予測されたのだ。

 僕らは世界を理解することはほとんどない。正しさなるものは世界観でしかない。男性のエロを攻撃するのと女性のエロを攻撃するのはそのどちらも世界観が重ならないだけでそれらは正しさという話から零れ落ちている。この社会が持つ構造は理論的な標の美しさを必要としていない。それらは単なる世界観を推し進めるマヌーバでしかない。美しさとは何か、それは偏見を取り除くことである。ただただそれが分かる。そこにどんな余計な言葉も動作も感情も知覚すらなくても分かることだから今の社会にはほとんどない。美醜のルッキズムを口にすれば泉のほとりで餓鬼と化す。世界観の中で美しいと思えばそれらが利を生む。それは構造だからだ。そしてそれを外側から見れば得をしてズルいなどと思う。構造腐敗を引き起こそうとしていく。なにものでもないことが僕らには必要だったが、それらは社会性の檻が生み出され忘れ去られて久しい。近いうちに大きな腐敗と代謝の転換が生じる。変わった様に見えない構造の性質が変化する。適応を誇る僕らになにが出来るだろう。反射と反応の世界観で、それは生殖と老死の反動する繰り返しで、人間の構造というものがその構造を代謝することでしかこの≪世界≫で生きられないことを教えてくれる。どん詰まりの構造的世界だ。

世界観と構造代謝の最中に消えゆく灯火