Katsute_no_kigouのブログ

弱さの発露として世界を語ろう。それが遺書である。

人間の世界と私の構造は常に重ね合わされる。

300101

消え去る前の小話

 私が若者でなくなった時に落ち着きを取り戻す為に行ったのが文章を書くこと。それらは感情を切れ切れに細切りにしてそれらをぐしゃぐしゃに混ぜて大きな紙の上に糊付けする。ただ書くだけで落ち着くと言うのが統合失調症の患者にも見られる。私はどうだろうか幸いにも幻聴も幻覚もないし敵意が脳内で反乱を起こすこともない。それらに分類されるわけにはいかないから文章を書いている。これらは理論的だろうか整合性が確保されているだろうか、と言った客観的視点は久しくない。私が世界を描こうと小説に取り組んだ時にもそれらは得られない。表現とはそんなものだ。初めから主観的でそれらは無数に散らばりこの世に吐いて捨てるほどの表現が存在するから私はただ文章を書くことが安心に繋がると知っている。最早若者ではないのだ、得られた知見で若者を成長させ価値の高い仕事をしなければならないと期待されている。しかしそれらの試みは上手くいったためしがない。チームの皆も扱いづらい人間として見ているだろう。だから文章を書く、整合性とは感情に必要ないものだ。太陽から受ける熱と光さえあればそれそのものが整合性で私にとっての理性である。

 意味もなく涙が出る。意味はないが感情を当てられたのだ。文章を書けば何か素敵なものが得られるか。いいやそれはない。書こうが書かまいが私は意味もなく苦しむ。書かなければ死ぬ。書かなければ生存は出来ない。だから書く。PVが欲しいとか感想が欲しいとかファンが出来たらいいななんて以前は思っていたが私にはそれだけの技量がない。イベントやWEB上にほんの少しだけの作品を挙げて痛感した。私との隔たりは熱意だろうと。彼らには熱がある、愛がある。強かさがある。私はただ書かねばいられない、書いた先に研究などなく私は私自身の世界を残す為に書く。書籍化作家が一冊で打ち切られてこれまでのことをエッセイにまとめている。再起をかけた作品を幾つか投稿している。沢山の評価と沢山の感情がそこにはあった。それだけ他人の惹きつける才能が有った。作家とはそういうものだろう。私はそういった輝かしい人たちとは違っていた。ただテーブルに本を並べ薄笑いを浮かべる男はどこにも居場所がない。机を運ぼうとした時に一緒になった男が失笑した。理由は分からないが私のせいだろう。私は怯えていた、この場でただ佇むことが出来ない、この場で誰かに声をかけることが出来ない。周囲を見渡せば個々の世界が構築されていた。私の居場所はない。懇親会に参加した。席が余っていたところに座ったら、隣の人が女の人が良かったとぼやく。ああ、消えてしまいたい。私の居場所はここにない。対話できないのだから消えてしまえ。思い返す度に涙が出る。そういった場で有意義な対話が出来た試しがないから、どこへも行けないのだ。

 表現の居場所はどこにもない。世界中で何億もの作品が毎日世に出て行く。その中で私がなにかを表現したとしても、それらは墓標に過ぎない。だから私は私のために私の世界を構築することだけやるより他ない。見せ方が上手く表現も素敵な人間が沢山いるのだから私がやれるのはそれだけしかない。そういった場に出て、活動するのは素晴らしい事ですから、そこで関係を育んでくださいと言ったカウンセラー。ごめんなさい、私にはできませんでした。誰かと人間らしい関係を育むやり方を忘れました。目の前の人と話す時、上司に話しかけられた時、会話を一言で終わらせてしまってごめんなさい。私は心の中に住み着いたカウンセラーの幻に頭を下げる。すべきでないことばかりが最適化されて私は社会性を失いつつある。そもそもあったのか怪しいものだが、枝葉末節にばかり思考が行く私には人間のありかた、というものが分からないのかもしれない。ただ何かを表現する。そしてそれらをただ誰に宣言するでもなくWEB上に挙げる。製本する。そうして自己の作品を積み上げてその中で眠ろう。部屋のジョニーにいつも言うんだ「なあ、いつか私を食い殺してくれよな」と、デフォルメされた鮫のぬいぐるみが私をこの現実に把持する。彼に乗って太陽まで行くのだ。誰かに傾聴してもらわなければ感情のおこりが凪ぐことはない。しかしそんな相手はいない。

 楽しいか? 楽しいのか? 楽しいのなら楽しいと思おう。そうやって趣味で誤魔化している。なにかを表現した気になっても、それらは他人に届かないのだから私はなにもしなくていい。それが出来ないからこうして文章を書く。物語を記述する。人間未満。それがなにかを書いたとして価値があるか。価値はほとんどない。価値は自分で決めるものだ。総スカンを喰らったか? それは思い込みだ。私は他人と対話をして何かを決めると言うのが苦手だ。上手くいかない。社会人としてギリギリを這っているがそれもいつまで続くか分からない。私の愛すべきコンプレックスに穿たれた全ての意識よその投射が私を焼く。耳を切り落せばいいか、それほどのパワーはない。

世界観と構造代謝の最中に消えゆく灯火